ひと夏の恋をキミと
昨日はあまり眠れなかった。

怖くて。

だからずっと書いてきた日記を
読み直していた。


6月までの日記は
暗い事しか書いてなかったけど
夏休みに入ってからの日記は
陽輝との思い出で溢れていて
キラキラしていた。


ネガティブな気持ちは一切なくて、
『楽しい』『嬉しい』そんな言葉ばかりが
連なっていた。



今、時計は10:00を示している。

私の手術は13:30から。

あと、3時間半。


「…お母さん。」


「なーに?どうしたの?」


「この日記、私が手術している間に
読んでくれる?
私の、一生がここに詰まってるから。」


お母さんは小さく頷いた。


「分かった、全部読み切る前に
ちゃんと戻って来てね。」


震えた声でそう言った。
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