ひと夏の恋をキミと
俺に迷いはなかった。


先生に着いていき
消毒をして着替えて、
まだ眠る姫奈の前へ座った。


…姫奈。やっと話せるな。


「陽輝君、何を話してもらっても構わないよ。
ただ長くはないから
それだけは覚えていてほしい。」


先生に向かって強く頷いた。


「それでは、覚醒手術を行います。
麻酔解除。」


先生の言葉で麻酔が解かれる。


「姫奈ちゃん、起きて、分かる?」


ポンポンと肩を叩くと
姫奈がゆっくりと目を開けた。


「…姫奈?」


「は…るき?」


「俺が、分かる?」


「…夢?」


「夢じゃないよ。」


「そっ…か。えへへ、嬉しい。」


ふにゃっと力なく笑った。
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