ひと夏の恋をキミと
日が暮れ、
俺以外のメンバーはそれぞれ
帰って行った。


姫奈のお母さんとお父さんも
今日は家に帰ると言っていた。


そして特別に泊りの許可が下りたから
今日は姫奈と2人きり。


俺は姫奈の髪を指ですくってキスをした。


「姫奈…、愛してる。」


ぼそっと呟いた声は
姫奈に届いただろうか。


まぁ、聞いてなくてもいい。
何度だって伝えるから。



俺は一旦姫奈の隣から離れ、
鞄の中にある手紙を取り出した。


これは夏祭りの日にもらったのじゃなくて、
姫奈が手術を受けた日、
日記の最後のページに
”陽輝へ”と綺麗な文字で書かれた
見開きの隣のページに
貼り付けられていたのを見つけた。


何度も繰り返し読んで、
涙で滲んだりしていて
少しよれてしまったけど、
今でも大事に毎日持ち歩いている。


俺は久しぶりにこの手紙を開いた。
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