ひと夏の恋をキミと
それは悪いと思ったから
何度も払うと言ったけど
言うたびに断られてしまったから
甘えることにした。


お店を出る前に
もう一度深く頭を下げて
お礼をするとニコッと笑って
手を振ってくれた。


後で、陽輝にこの事を話そうと思いながら
私と愛美は駅に向かって歩き出した。



「いよいよだね、姫奈。」


愛美は私に歩幅を合わせて
歩いてくれる。
今日は瑠奈ちゃんはお母さんに預けてくれたみたい。


「ありがとう、一緒に来てくれて。
久し振りすぎる外の世界が
全然わけわからなくて。」


9年以上病院の中で
過ごしていたから、
街に出るのは正直不安だったんだ。


だから今日は愛美にお願いして
着いてきてもらったのだ。
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