ひと夏の恋をキミと
私も一度でいいから
誰かを好きになって
誰かに愛されてみたかったなって。


ちょっとだけ思う。


「また…。」

「ん?」

「また、切ない顔してる。」


切ない…?


「昨日、会った時から思ってた。
なんか切なそうに笑うなって。」


陽輝君の表情はふざけてるわけではなく
本気だった。


「…そんな顔してるかなぁ?
元々こうだと思うけど!」


「それ、無理してるみたい。
俺が子犬みたいって笑ったでしょ?
あの時の笑顔が本物だった。」


痛いところを突かれた。

愛美にはばれなかったのに
どうして昨日会ったばっかりの
陽輝君には分かってしまうんだろう。


何も言い返せず
黙っていると
< 32 / 268 >

この作品をシェア

pagetop