空をつかむ~あなたがどこまでも愛しくて
「だって、和桜ちゃんの絵とTUYUKUSAさんの絵が並んで展示されるんですって」

「おいおい、そりゃたまげたな。っていうか、TUYUKUSAの絵は搬入に間に合うってことか?」

館長が私に顔を向けて尋ねた。

「はい。どうも空輸便の手違いがあったらしくて、今まほろば編集部に作品が到着したそうです」

「そりゃよかったな。彼の絵が展示されることは和桜ちゃんが一番喜んでそうだな」

館長は優しい目で頷きながら、両手を顔の前で組んだ。

「それに、和桜ちゃんの心の恋人のTUYUKUSAと並んで展示されるなんて、和桜ちゃんも大したもんだよ」

「なんだか夢みたいです」

「夢じゃないわ」

植村さんはそう言うと、私の肩に手を置いたまま立ち上がり自分の席に戻って行った。

その時、美術館の裏口のチャイムが鳴る。

「来たわよ!」

作品を積んだトラックが到着した。

次から次へときれいに梱包された作品が館内に運び込まれていく。

トラックが到着したすぐ後に、山田さんが自家用車でやってきた。編集部スタッフ達とTUYUKUSAさんの作品を乗せて。

体中が信じられないくらいに上気していた。

私の絵の横にTUYUKUSAさんの絵が並べて立てかけられ、その梱包がゆっくりと外されていっいく。

薄い青空にとけ込むような白いゾウの点描画が現れた。

額の色も青空色にしていた。今にもゾウが飛びだして行きそうな雰囲気を出すために。

そして、TUYUKUSAさんの絵が解放される。

「え」

思わず口に手を当て、息を飲んだ。





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