空をつかむ~あなたがどこまでも愛しくて
心の奥底で詰まっていたどろどろの黒い固まりがすぅーっと砕けていくようだった。
自分の何かが破れて新しい自分が生まれて出てくるような感覚。
トラウマが消えて行く・・・・・・
ようやく頬に流れ落ちた涙を手の甲でぬぐった。
「醍、わかってたの?あの二人のこと」
「和桜の表情が以前トラウマの話してくれた時と同じように固まってたから、もしかしたらって思った」
彼の手はとても熱かった。
「ありがとう・・・・・・もう少しで自分自身に押し潰されそうだった」
「言ったろ?俺が和桜のトラウマを叩きつぶしてやるってさ」
振り返った醍は以前と変わらない優しい目をして笑っていた。
「っていうか、俺、かなり今の状況理解できてないんだけど。ここに和桜がいるなんて、まだ夢を見てるみたいだ」
前髪を掻き上げると、路上に停めた車に乗るよう促される。
「私も」
助手席に座りながら答えた。
「とりあえず俺が今住んでるアパートメントに向かうね」
醍は左ハンドルの運転席に座り、でこぼこした石畳の上をゆっくりと抜けていった。
二人しばらく何も言わず前を向いている。
「何から話せばいいのかわからない。たくさんありすぎて」
彼の少し困ったような緊張した横顔も好きだと思った。
「私、気付いたの。醍の絵を見て」
「絵?」
「TUYUKUSAさんが醍だってわかったんだ。【和桜】っていう絵、心が震えたわ。あのゾウの絵よりももっと深く私の中に入り込んできた」
「そうか・・・・・・」
醍は何かをためらっているようだった。
あの日以来会っていなかったから?
「会えなくてもずっとあなたと繋がってたんだって気付いたんだ」
醍は軽く咳払いをして、ゆっくりと車を道路の脇に停車した。
「だからパリまで俺に会いにきてくれたってわけ?」
「そう」
「っていうか、俺がパリのどこにいるかもわからないまま?」
「うん」
「それってかなり冒険だよね」
「そうだね」
自分で答えながらくすっと笑う。
自分の何かが破れて新しい自分が生まれて出てくるような感覚。
トラウマが消えて行く・・・・・・
ようやく頬に流れ落ちた涙を手の甲でぬぐった。
「醍、わかってたの?あの二人のこと」
「和桜の表情が以前トラウマの話してくれた時と同じように固まってたから、もしかしたらって思った」
彼の手はとても熱かった。
「ありがとう・・・・・・もう少しで自分自身に押し潰されそうだった」
「言ったろ?俺が和桜のトラウマを叩きつぶしてやるってさ」
振り返った醍は以前と変わらない優しい目をして笑っていた。
「っていうか、俺、かなり今の状況理解できてないんだけど。ここに和桜がいるなんて、まだ夢を見てるみたいだ」
前髪を掻き上げると、路上に停めた車に乗るよう促される。
「私も」
助手席に座りながら答えた。
「とりあえず俺が今住んでるアパートメントに向かうね」
醍は左ハンドルの運転席に座り、でこぼこした石畳の上をゆっくりと抜けていった。
二人しばらく何も言わず前を向いている。
「何から話せばいいのかわからない。たくさんありすぎて」
彼の少し困ったような緊張した横顔も好きだと思った。
「私、気付いたの。醍の絵を見て」
「絵?」
「TUYUKUSAさんが醍だってわかったんだ。【和桜】っていう絵、心が震えたわ。あのゾウの絵よりももっと深く私の中に入り込んできた」
「そうか・・・・・・」
醍は何かをためらっているようだった。
あの日以来会っていなかったから?
「会えなくてもずっとあなたと繋がってたんだって気付いたんだ」
醍は軽く咳払いをして、ゆっくりと車を道路の脇に停車した。
「だからパリまで俺に会いにきてくれたってわけ?」
「そう」
「っていうか、俺がパリのどこにいるかもわからないまま?」
「うん」
「それってかなり冒険だよね」
「そうだね」
自分で答えながらくすっと笑う。