空をつかむ~あなたがどこまでも愛しくて
車を降りると、エレベーターに乗り最上階まで上がる。
エレベーターが開いた先にあったのは、日本でも有数の高級日本料亭だった。
「ここ?」
「うん」
若干26歳の若者が使うような店ではないことは私でもわかる。
30歳の私ですら、こんな料亭初めてなんだもの。
「どうしたの?」
店の前で立ちつくす私を振り返った彼は不思議そうな顔をして尋ねた。
「こんな格の高い料亭、簡単に入れないわ。私今日はこんな恰好だし・・・・・・」
黒いワンピースにベージュのカーディガンを羽織っただけの自分の姿に目をやりながらうつむく。
「大丈夫だよ。ここの亭主とも家族ぐるみで仲良くさせてもらってるから、何も気にしなくていい」
吉丸さんはそう言うと、私の手を取りそのまま店の扉を開けて中に入って行った。
何も気にしなくていいって?
よく来てるってさらっと言ってたけど、どういうことなの?
店内に入ると、店員達もよく彼を知っているようで、皆親しげに挨拶を交わしている。
通された席は一番奥の個室で、最上階からの夜景が見渡せる特等席だった。
突き出しが通された時、亭主がわざわざ部屋まで挨拶に来た。
「お坊ちゃん、久しぶりですねぇ。すっかりご立派になられて。お噂はかねがね聞いていますよ」
お坊ちゃん?
「ご無沙汰しています。亭主もお変わりなく」
「いやいや最近もう年ですかねぇ。腰をやられまして、うちの若いもんに助けてもらってなんとかやってます。お父様、お母様もお元気でいらっしゃいますか?」
「はい、また皆で来させて頂きます」
「そちらのお連れ様は?」
亭主はようやく私に顔を向けた。
エレベーターが開いた先にあったのは、日本でも有数の高級日本料亭だった。
「ここ?」
「うん」
若干26歳の若者が使うような店ではないことは私でもわかる。
30歳の私ですら、こんな料亭初めてなんだもの。
「どうしたの?」
店の前で立ちつくす私を振り返った彼は不思議そうな顔をして尋ねた。
「こんな格の高い料亭、簡単に入れないわ。私今日はこんな恰好だし・・・・・・」
黒いワンピースにベージュのカーディガンを羽織っただけの自分の姿に目をやりながらうつむく。
「大丈夫だよ。ここの亭主とも家族ぐるみで仲良くさせてもらってるから、何も気にしなくていい」
吉丸さんはそう言うと、私の手を取りそのまま店の扉を開けて中に入って行った。
何も気にしなくていいって?
よく来てるってさらっと言ってたけど、どういうことなの?
店内に入ると、店員達もよく彼を知っているようで、皆親しげに挨拶を交わしている。
通された席は一番奥の個室で、最上階からの夜景が見渡せる特等席だった。
突き出しが通された時、亭主がわざわざ部屋まで挨拶に来た。
「お坊ちゃん、久しぶりですねぇ。すっかりご立派になられて。お噂はかねがね聞いていますよ」
お坊ちゃん?
「ご無沙汰しています。亭主もお変わりなく」
「いやいや最近もう年ですかねぇ。腰をやられまして、うちの若いもんに助けてもらってなんとかやってます。お父様、お母様もお元気でいらっしゃいますか?」
「はい、また皆で来させて頂きます」
「そちらのお連れ様は?」
亭主はようやく私に顔を向けた。