空をつかむ~あなたがどこまでも愛しくて
「本当さ。傷付くのを避けてる人間は真の自分には会えない」
彼は急に真面目な顔で私をまっすぐに見つめた。
私も彼の目をしっかりと見つめて言った。
「傷付くのは辛いわ。殻を破れる強さのある人はいいけれど、それがトラウマになって前に進めなくなる人もいる」
「和桜さんはトラウマを抱えてるの?」
泣きそうだった。
溢れそうになる涙をぐっと堪えて、吉丸さんの目を見つめ続ける。
「俺がそのトラウマをたたきつぶしてやろうか?」
彼はゆっくりと湯飲みをテーブルの上に置いた。
あまりにもストレートな彼の言葉に思わず固くなった心が緩む。
一瞬、彼なら本当に私のトラウマをたたきつぶしてくれるかもしれない、なんて思ってしまった。
年下の彼が私のトラウマをどうこうしようだなんて。そんな簡単なことではないのに。
「随分、かっこいいこと言ってくれてるけど、私はあなたより少しは長く生きてるのよ」
吉丸さんは「ん?」という表情で私を尚も見つめる。
「私は今30歳。あなたより少しお姉さんなんだけど」
「それがどうかした?」
彼は表情を変えずに即座に言い放った。
「俺は年齢とか全く関係ないと思ってるから。年取ってたって馬鹿な奴は馬鹿だし、年下でもすごい奴はいっぱいいる」
「じゃ、あなたはすごい奴の部類に入るの?」
少し意地悪な気持ちで尋ねてみた。
「俺は、年齢相応・・・・・・かな」
私の問いに戸惑いながら答える彼がかわいくてつい笑ってしまう。
男の人と二人で向かい合っておしゃべりしてこんな風に楽しい気持ちになれるなんて。
しかも一番触れられたくないトラウマの話をしてるのに笑顔になってる自分自身が信じられない。つい最近まで考えられなかったことだから。
彼は急に真面目な顔で私をまっすぐに見つめた。
私も彼の目をしっかりと見つめて言った。
「傷付くのは辛いわ。殻を破れる強さのある人はいいけれど、それがトラウマになって前に進めなくなる人もいる」
「和桜さんはトラウマを抱えてるの?」
泣きそうだった。
溢れそうになる涙をぐっと堪えて、吉丸さんの目を見つめ続ける。
「俺がそのトラウマをたたきつぶしてやろうか?」
彼はゆっくりと湯飲みをテーブルの上に置いた。
あまりにもストレートな彼の言葉に思わず固くなった心が緩む。
一瞬、彼なら本当に私のトラウマをたたきつぶしてくれるかもしれない、なんて思ってしまった。
年下の彼が私のトラウマをどうこうしようだなんて。そんな簡単なことではないのに。
「随分、かっこいいこと言ってくれてるけど、私はあなたより少しは長く生きてるのよ」
吉丸さんは「ん?」という表情で私を尚も見つめる。
「私は今30歳。あなたより少しお姉さんなんだけど」
「それがどうかした?」
彼は表情を変えずに即座に言い放った。
「俺は年齢とか全く関係ないと思ってるから。年取ってたって馬鹿な奴は馬鹿だし、年下でもすごい奴はいっぱいいる」
「じゃ、あなたはすごい奴の部類に入るの?」
少し意地悪な気持ちで尋ねてみた。
「俺は、年齢相応・・・・・・かな」
私の問いに戸惑いながら答える彼がかわいくてつい笑ってしまう。
男の人と二人で向かい合っておしゃべりしてこんな風に楽しい気持ちになれるなんて。
しかも一番触れられたくないトラウマの話をしてるのに笑顔になってる自分自身が信じられない。つい最近まで考えられなかったことだから。