空をつかむ~あなたがどこまでも愛しくて
お互いがお互いの企みを察知したのか、二人で顔を見合わせて噴き出した。

「何笑ってるのさ」

「あなたこそ」

「俺たち」

醍は、前髪を長い指で掻き上げると笑うのを止めて言った。

「似た者同士かも」

似た者同士?

醍と?

醍の黒くて大きな瞳がキラキラと潤んでいるように見える。

どう答えたらいいのかわからず黙っていたら、彼はふっと視線を落とした。

「ま、いいや。よく考えたらそれほど和桜さんのこと知らないし、似た者同士なんて言われたらまた失礼ねって言われそうだから」

「そんなに怒りっぽくないわ」

私はそう言いながら醍を軽くにらんだ。

そんな私の顔を見てまた彼は笑う。

なんだろう。

楽しい。

すごくすごく楽しい。

久しぶりじゃないかな、こんなに誰かと笑い合ったのもしゃべったのも。

彼には安心して何でも言えるような気がしていた。

「こちらが本日コースの最後のメニューになります」

部屋に入って来た仲居さんが私達の前にお皿を置きながら言った。

「豆乳のシブーストでございます。今から上に乗ったカラメルを溶かしますね」

仲居さんは丸くかたどられたシブーストの上をバーナーで焦がしていく。

じゅわっという微かな音がして、こんがりと焦げ目がつきカラメルが波打つ。

「どうぞごゆっくり」

仲居さんは丁寧にお辞儀をすると部屋を出ていった。

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