空をつかむ~あなたがどこまでも愛しくて
ジャングルだろうか。
たくさん葉の茂った中に何頭ものゾウが群れを成していた。
それはまるで何かのデザイン画のような洗練された美しい絵だった。
しかもこんな短時間でこんなにたくさんのゾウのデッサンを描けるなんて。
彼は一体?
「すごい、です」
思わず口に手を当てて、その絵を見つめた。
「あの、あなたは」
「俺?」
「あ・・・・・・吉丸さんってこういう関係のお仕事されてるの?」
彼は私の手からスケッチブックを受け取ると、リュックの中へペンと一緒にそれも放り込む。
そして、ゾウを見つめたまま言った。
「ただ、自分の頭の中のイメージを表現するのが好きなだけ」
「好きなだけ?」
「でも、自分の表現したものを見た誰かの心に何かを残せればすごくうれしいけどね。まぁそこまで到達するにはなかなか難しいだろうだけど」
そう言って彼は優しく私に微笑んだ。朝日がキラキラと彼の目元を泳ぐ。
「もう一度聞くけど、君の名前は?嫌じゃなきゃ教えて」
そのまっすぐな瞳につい口を滑らせる。
「・・・・・・渡瀬なお」
「なお?きれいな響きだね。どういう字を書くの?」
別に教えなくてもいいと思ったのに、その優しい眼差しにさらに口が勝手に動いた。
「和む桜って書いて『なお』って読むの」
「へぇ。すごくきれいな名前だ」
吉丸さんは組んだ足の膝の上に片肘をついたまま微笑んだ。
あまりにもその姿が美しくて胸の奥がドクンと震える。
たくさん葉の茂った中に何頭ものゾウが群れを成していた。
それはまるで何かのデザイン画のような洗練された美しい絵だった。
しかもこんな短時間でこんなにたくさんのゾウのデッサンを描けるなんて。
彼は一体?
「すごい、です」
思わず口に手を当てて、その絵を見つめた。
「あの、あなたは」
「俺?」
「あ・・・・・・吉丸さんってこういう関係のお仕事されてるの?」
彼は私の手からスケッチブックを受け取ると、リュックの中へペンと一緒にそれも放り込む。
そして、ゾウを見つめたまま言った。
「ただ、自分の頭の中のイメージを表現するのが好きなだけ」
「好きなだけ?」
「でも、自分の表現したものを見た誰かの心に何かを残せればすごくうれしいけどね。まぁそこまで到達するにはなかなか難しいだろうだけど」
そう言って彼は優しく私に微笑んだ。朝日がキラキラと彼の目元を泳ぐ。
「もう一度聞くけど、君の名前は?嫌じゃなきゃ教えて」
そのまっすぐな瞳につい口を滑らせる。
「・・・・・・渡瀬なお」
「なお?きれいな響きだね。どういう字を書くの?」
別に教えなくてもいいと思ったのに、その優しい眼差しにさらに口が勝手に動いた。
「和む桜って書いて『なお』って読むの」
「へぇ。すごくきれいな名前だ」
吉丸さんは組んだ足の膝の上に片肘をついたまま微笑んだ。
あまりにもその姿が美しくて胸の奥がドクンと震える。