空をつかむ~あなたがどこまでも愛しくて
館長が出て行った後、植村さんが自分の椅子を滑らせて私の隣にやってきた。
「すごいよね。こんな大役任されちゃうなんて。私、まだ興奮状態だわ」
植村さんは自分の胸に手を当てて、うっとりと目をつむった。
「まるで恋してるみたいな顔ですよ」
私はそんな彼女を見て笑った。
「だって、まほろばさんとのコラボ企画でしょ?こんな企画任されたの、ここに勤めて初めてよ」
今年、36歳になる植村さんは少女みたいに目をキラキラさせていた。
本当に嬉しいんだ。
この美術館が出来てからずっと館長とこの館を守ってきた植村さん。
経歴はトップクラスの芸大を出ているから、本当ならこんな小さな美術館でなくてもっと大きな場所で働けるだろうけれど、ずっとここがいいと言って続けている。
この美術館の地域に密着したアットホームさとプロ作品だけには拘らない「いいもの」を求めて展示し続ける館長の考え方に惹かれているといつも言っていた。
私もそんな植村さんが大好きで、この館長と植村さんがいてくれたからずっと続けてこれたのかもしれない。
「それにしても十周年記念企画にふさわしいコンセプトってなかなか難しいわよねぇ」
彼女は腕を組んで眉間に皺を寄せた。
「そうですよね。プロアマ問わず募集するんだったら、皆が揃ってイメージできてなおかつコンセプトにも自由性がなくちゃいけないですもん」
「自由性ね。だけど、自由じゃだめなんだものね」
言いながら、そう簡単には浮かばない。
でも任された以上、植村さんと必死に生み出さなくちゃ。
「和桜ちゃん、館長も言ってたけどもし納得行く作品があるなら応募しちゃいなさいよ」
植村さんはいたずらっぽく笑いながら私の肩に手を置いて続けた。
「私も、出そうかなぁなんて思ってるのよ」
「え?植村さんも描いてるんですか?」
「もちろんよー。だってこれでも一応芸大出てるんですからね」
「へー、植村さんはどんな絵を描くんだろう」
私は彼女の顔をのぞき込んだ。
「すごいよね。こんな大役任されちゃうなんて。私、まだ興奮状態だわ」
植村さんは自分の胸に手を当てて、うっとりと目をつむった。
「まるで恋してるみたいな顔ですよ」
私はそんな彼女を見て笑った。
「だって、まほろばさんとのコラボ企画でしょ?こんな企画任されたの、ここに勤めて初めてよ」
今年、36歳になる植村さんは少女みたいに目をキラキラさせていた。
本当に嬉しいんだ。
この美術館が出来てからずっと館長とこの館を守ってきた植村さん。
経歴はトップクラスの芸大を出ているから、本当ならこんな小さな美術館でなくてもっと大きな場所で働けるだろうけれど、ずっとここがいいと言って続けている。
この美術館の地域に密着したアットホームさとプロ作品だけには拘らない「いいもの」を求めて展示し続ける館長の考え方に惹かれているといつも言っていた。
私もそんな植村さんが大好きで、この館長と植村さんがいてくれたからずっと続けてこれたのかもしれない。
「それにしても十周年記念企画にふさわしいコンセプトってなかなか難しいわよねぇ」
彼女は腕を組んで眉間に皺を寄せた。
「そうですよね。プロアマ問わず募集するんだったら、皆が揃ってイメージできてなおかつコンセプトにも自由性がなくちゃいけないですもん」
「自由性ね。だけど、自由じゃだめなんだものね」
言いながら、そう簡単には浮かばない。
でも任された以上、植村さんと必死に生み出さなくちゃ。
「和桜ちゃん、館長も言ってたけどもし納得行く作品があるなら応募しちゃいなさいよ」
植村さんはいたずらっぽく笑いながら私の肩に手を置いて続けた。
「私も、出そうかなぁなんて思ってるのよ」
「え?植村さんも描いてるんですか?」
「もちろんよー。だってこれでも一応芸大出てるんですからね」
「へー、植村さんはどんな絵を描くんだろう」
私は彼女の顔をのぞき込んだ。