空をつかむ~あなたがどこまでも愛しくて
帰り道、スーパーに寄って卵と鶏肉を買う。

いつだったか醍がオムライスが好きだと言っていた。

上手くつくれるかわからないけれど、がんばって作ってみよう。

家に帰り、付け合わせのサラダとスープを用意する。

その後チキンライスを作り、醍が帰ってきたら卵で巻くだけにしておいた。

待ち遠しい時はどうしてこんなにも時間が経つのが遅いのか。

何度も時計を見るけれど、大して長針は進まない。

ソファーに座りテレビを点けたその時チャイムが鳴った。

深呼吸をして玄関に急ぐ。

嬉しくてしょうがないけれど、落ち着かなくちゃ。

そっと扉を開けると醍が立っていた。

黒皮のジャケットを羽織り、グレーのスリムジーンズをおしゃれに着こなしている。

長身でスタイルのいい彼は何を来ても絵になると思いながらそんな姿にしばし見とれていると、醍がにっこり微笑み私の名前を呼んだ。

「和桜」

そして、玄関に入るなり私を抱きしめる。

醍の大きな体にぎゅっと包まれるだけでどうにかなってしまいそうな程に心も体もとろけていく。

「少し会わなかっただけなのに寂しくておかしくなりそうだったよ」

熱を帯びた目で見つめながらそう言うと、彼はそっと私の耳たぶにキスをした。

そのキスに自分を見失いそうになって彼の体からゆっくりと離れる。

「さ、晩御飯の用意ができてるわ。お腹空いたし食べましょう」

「俺は、和桜を先に食べたい」

「はいはい」

軽く笑いながらリビングに向かおうとしたのに、彼に後ろから羽交い締めにされた。

もうどうなってもいいような気がして、彼に身を任せる。




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