先生、死にたいです
しばらくするとご飯を看護師さんが運んでくれた。
今度は違う女の人だった。

「今はしっかり食べてまずは元気になろうね。」

そう言って私が食べるのをじっと待っていた。
お母さんはお父さんに電話しに行っていて、私と看護師さんだけ残され酷く困った。

私は震える手でスプーンを握ろうとしてびっくりした。自分の腕の細さに。
看護師さんやお母さんは、ちょっと太ってるからって思ったけど違った。私が異常なんだ。

でもご飯を目の前にしても、全然お腹が空かないし、食べる気持ちになれなかった。

そしてまた先生が来た。
「どうしても食べられませんか?それならドリンクタイプの栄養食品があります。飲むだけでいいのです。味も色々な種類がありますから好きな味を出しますよ?とりあえずイチゴ味にしましょうか。」

と言って缶を差し出してきた。
私は首を振って拒否した。
すると今度はお母さんが入って来て、少しでいいからと言って缶の蓋を開けて口に近ずけてきた。

私は少し舐めてみたけど気持ち悪かった。
でも泣いてくれたお母さんの為に少しずつ飲んだ。

先生が安心した表情で「ゆっくりでいいですからね。」と言って帰って行った。

看護師さんも安心したみたいで、「その調子ならすぐ良くなるからね。次はご飯も食べようね。」と言って病院食を持って出ていった。
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