【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
ケイト!
グランドピアノの向こうを歩く彼の姿が見える。
もしかして考えすぎて幻を見てしまったのかと思い、何度も瞬きをした。でも間違いなくケイトだった。
隣にいる男性と何か話をしながら歩いていた彼が、ゆっくりとこちらを振り返る。
そして次の瞬間に、バチッと目が合った。
わたしと同じように彼も驚いたのか、目を見開く。しばらくぶりに見た彼の姿にわたしは動けなくなってしまった。
しかし彼の目線が、わたしの前に座っているお見合い相手の姿を捉えたとき、彼の顔が険しく曇った。
「あっ……」
思わず体が動きそうになって、思いとどまった。
今更どんな顔をして彼の前に立てばいいというの?
ケイトは険しい顔のまま、向こうに歩いて行ってしまう。
途端に期待で膨らんでしまった胸の風船が、一気にしぼんでしまった。
「森安さん、どうかしましたか?」
「いいえ……すみません」
うつむいたまま、首を左右にふることしかできない。
お見合いの席なのだからきちんとしなくてはいけないとわかっていても、心のコントロールができずに目に涙がにじんでしまう。
いったい、何を期待していたの?
ケイトはきっとわたしは彼のことをきっぱり忘れて、前に進んでいると思ったにちがいない。
これでいい。頭の中ではそう理解しているけれど、心がついていかない。
このままここにいたら、泣き出してしまう。
「あの、今日は失礼させてください。ごめんなさい」
わたしは頭を下げると、あっけに取られている見合い相手のことを置き去りにして、そのホテルから逃げるようにして出た。
グランドピアノの向こうを歩く彼の姿が見える。
もしかして考えすぎて幻を見てしまったのかと思い、何度も瞬きをした。でも間違いなくケイトだった。
隣にいる男性と何か話をしながら歩いていた彼が、ゆっくりとこちらを振り返る。
そして次の瞬間に、バチッと目が合った。
わたしと同じように彼も驚いたのか、目を見開く。しばらくぶりに見た彼の姿にわたしは動けなくなってしまった。
しかし彼の目線が、わたしの前に座っているお見合い相手の姿を捉えたとき、彼の顔が険しく曇った。
「あっ……」
思わず体が動きそうになって、思いとどまった。
今更どんな顔をして彼の前に立てばいいというの?
ケイトは険しい顔のまま、向こうに歩いて行ってしまう。
途端に期待で膨らんでしまった胸の風船が、一気にしぼんでしまった。
「森安さん、どうかしましたか?」
「いいえ……すみません」
うつむいたまま、首を左右にふることしかできない。
お見合いの席なのだからきちんとしなくてはいけないとわかっていても、心のコントロールができずに目に涙がにじんでしまう。
いったい、何を期待していたの?
ケイトはきっとわたしは彼のことをきっぱり忘れて、前に進んでいると思ったにちがいない。
これでいい。頭の中ではそう理解しているけれど、心がついていかない。
このままここにいたら、泣き出してしまう。
「あの、今日は失礼させてください。ごめんなさい」
わたしは頭を下げると、あっけに取られている見合い相手のことを置き去りにして、そのホテルから逃げるようにして出た。