【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
それからどうやって部屋に戻ってきたのか、まったく記憶がない。

気がついたときには、真っ暗な部屋の中でひとり床に座り込んでいた。

今日わかったことがふたつある。

ひとつは、わたしはやっぱりケイト以外の人へ気持を向けることはできないということ。

もうひとつは、彼はもう二度とわたしとは関わろうとしていないこと。

あたりまえだろう。あんな形で別れた後、さっさと他の人と見合いをするような女だ。

拒否したのはわたしから、それなのにやっぱり好きだとか今更マヌケすぎるにもほどがある。

「あはは……バカみたい。ほんとっ……に」

ボタボタと床に涙が落ちる。ぬぐってもぬぐっても溢れてきて止めどない。

でももうどうすることもできない。

自分の気持をごまかすことも、もう一度ケイトの元へ向かうことも。

なんだか色々なことから逃げたくなったわたしは、スマートフォンを取り出しあんなに嫌だった実家へ帰る飛行機のチケットを取っていた。

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