【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました

「きっとわたし結婚に向いていないんだと思う」

「そう? 結婚なんて所詮相手次第だからね。向きも不向きもないわよ」

さすが夫の死後も、誰とも結婚せずに父だけを愛してきた母が言うと、重みが違う。

「でも、わたしが好きになった人は、結婚はしたくない人で。しかも年下」

「それで?」

「それでって……それだけ」

わたしの言葉に母がダイニングテーブルの上に身を乗り出してきた。

「それだけって、どういうことよっ!」

「な、何よ。急に」

母がいきなり大きな声を上げたせいで、テーブルの下にいたハナがビクンと体を起こし、足元に避難してきた。

「何よじゃないわよ。浮気癖があるとか、暴力を振るうとか、そういう男じゃないんでしょう?」

勢いに押されて、うんうんとうなずく。

「それで好きな人が結婚したくないからって、諦めたの?」

「まあ、そうなるわよね。だって、これから付き合うなら結婚を視野にいれてくれる人じゃないと」

「その人に、ちゃんと芽衣子の気持は伝えたの?」

頭を左右に振る。

「ばっかじゃないの?」

「な、何?」

母の剣幕にたじろぐ。

「本当に好きだったら、自分の気持を伝えなくてどうするの? 芽衣子からプロポーズするくらいできたはずよ。それに年下っていくつ下なの?」

「七つも下なんだよ」

さすがの母もちょっとひるんだ。
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