【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
「今でもこんなに幸せなのに?」

「今と比べものにならないくらい、幸せにする。その自信があるんだ」

微笑むケイトはわたしの頬を優しくなでた。

「だったら、わたしもケイトをおもいっきり幸せにする」

わたしも彼の頬に手を伸ばした。

「ふつつかものですが、よろしくお願いします」

そう口にした瞬間、ケイトの腕がわたしを思いっきり抱きしめた。背

の高い彼にそうされてわたしはつま先立ちになった。

「ありがとう。誰より、何より大切にする」

「うん。わたし、ケイトの側にいられて本当にうれしいよ」

わたしが背中に手を回し彼を抱きしめ返す。

「もう一回、キスしていい?」

「ダメよ。もう閉館時間だもの」

壁にかかった時計をふたりで見る。

「あと五分ある」

ケイトはそう言うと、わたしが逃げ出す前にチュと唇を奪った。

そんな幸せそうな顔されたら、なんでも許してしまいそう。

そんなわたしの心のうちをお見通しと言わんばかりに、彼は顔を傾けて今度は深いキスをしてきた。

舌先で唇をくすぐったり、ときどき優しく食んだり。じゃれているような、それでいて官能的で。

「ダメ、本当にここまで」

彼の胸に手をあてて、押しやった。

「そんな顔で言われても、やめられない。色っぽすぎる」

もう一度彼が唇を奪おうとした瞬間、閉館の合図の蛍の光が流れ出す。

「ほら、もうおしまい。昔もこの音楽が流れたら帰っていたでしょう?」

彼も思い出したのか「ああ」と笑いながら答えた。
< 118 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop