【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
「みじめじゃないの?」
バカにするように顔をのぞき込まれて、思わずカッとなって言い返した。
「ご心配なく、わたしももうすぐ結婚するから」
口からでまかせ。嘘八百。根も葉もない話。
けれどさっさと話題から逃げたかったわたしは、とっさにそう言ってしまっていた。
「へぇ~、そうなの? どんな人、何してるの? いつ結婚するの?」
詳しく突っ込まれてたじろぎそうになったけれど、適当にごまかした。
「普通の人だよ。いつ頃かな、一年以内?」
結婚式の用意はそれくらいあればできると思った。だから適当に言っただけ。
「え~教えてよぉ」
まだ食い下がってくる相手をうっとうしいなと思っていると、司会の人が声を上げて助かったと思った。
しかしこれがまた……タイミングが悪い内容で。
「では、独身の女性の皆さま、前に出てきてください」
ブーケトスが始まるらしい。
キャアキャアとはしゃぎながら出て行く女性たち。
中には小学生くらいの小さな子もいて微笑ましく見ていた。……隣から聞こえる「独身でしょ? 行かなくていいの?」という声はひたすら無視することにした。
式場の人からブーケを受け取ると、ニコニコしながら後ろを向いた。