【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました

「みじめじゃないの?」

バカにするように顔をのぞき込まれて、思わずカッとなって言い返した。

「ご心配なく、わたしももうすぐ結婚するから」

口からでまかせ。嘘八百。根も葉もない話。

けれどさっさと話題から逃げたかったわたしは、とっさにそう言ってしまっていた。

「へぇ~、そうなの? どんな人、何してるの? いつ結婚するの?」

詳しく突っ込まれてたじろぎそうになったけれど、適当にごまかした。

「普通の人だよ。いつ頃かな、一年以内?」

結婚式の用意はそれくらいあればできると思った。だから適当に言っただけ。

「え~教えてよぉ」

まだ食い下がってくる相手をうっとうしいなと思っていると、司会の人が声を上げて助かったと思った。

しかしこれがまた……タイミングが悪い内容で。

「では、独身の女性の皆さま、前に出てきてください」

ブーケトスが始まるらしい。

キャアキャアとはしゃぎながら出て行く女性たち。

中には小学生くらいの小さな子もいて微笑ましく見ていた。……隣から聞こえる「独身でしょ? 行かなくていいの?」という声はひたすら無視することにした。

式場の人からブーケを受け取ると、ニコニコしながら後ろを向いた。
< 12 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop