【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
「わかったから、顔を上げて。ふたりの意思が固ければお母さんは、反対しませんから。健もこれから家族になるんだから、きちんと挨拶して」
母に促された健が、まじまじとケイトの顔を見ている。
「あの、どこかでお会いしたことないですか? えーっと」
もしかしたら健も小さいころに、ケイトとあっていたのかもしれない。
その程度のことだとわたしは思っていた。
頭をかきながら脳内の記憶の引き出しをあけていた健は、はっと何かに気が付いたようで、「あーーーー!」と大声を上げた。
「何よ、健。うるさいじゃない」
隣にいた母は被害をもろに被ったようで、耳を押さえている。
「北村って、北村圭人って……あの、北村?」
あわあわと口をふるわせ、圭人の名前を連呼する健をなんとか落ち着かせようと声をかけたわたしに向かって健は目をカッと見開いて、声を上げた。
「北村圭人って、あの【スペースJ】を買い取ったっていう、あの……」
「ああ、そのことですか。はい。興味のある会社だったので」
にっこりと笑う圭人だったが、その言葉に健よりもわたしが食いついた。