【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
「【スペースJ】って、あの大手ECサイトの?」
「はい。芽衣子さんもご存じでしたか?」
ご存じもご存じ。いや日本で知らない人なんていないんじゃないかというくらいの規模の会社だ。年配の母でも知っているのか、口を開けたまま固まってしまっている。
「芽衣子さんと結婚するにあたって、仕事がないとかっこつかないなって思っていたんですよ。以前から話を持ちかけられていたので、ちょうどよかったなって思って」
「そんな簡単に、コンビニで買い物するみたいに言わないでよ」
有休をとってから、ひとりで色々と考えたくてネットやテレビから距離を置いていたので、まったく知らなかった。
「ちゃんと決まってから言おうと思って。それにプロポーズのことしか頭になかったから」
照れたように微笑んだケイトに、呆れて物も言えない。
「ねーちゃんすげーな。何億もの資産価値のある会社よりも、ねーちゃんのこと考える男なんてそうそういないわ」
わたしだってそう思う。
「これからも、会社経営とともに新しい事業などに投資をしていくつもりです。お母様からみれば不安定な職業に思われるかもしれませんが、芽衣子さんとこれから増える家族は守っていけるぶんの資産はありますので」
「どのくらいあるの?」
前のめりで聞いた健の頭をペチっとはたいて、睨みつけた。
けれど健はまったく堪えたようすなどない。
「ねーちゃんの、子供のころの写真いくらで買います?」
「バカ、健!」
止めに入るわたしの腕を、ケイトがひっぱった。
「相当の額をお約束します」
至極真面目な顔のケイトを見て、呆れたのは母とわたしで、健は「話が早いね~さすができるビジネスマン」などとほくほく顔で微笑んでいた。