【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
その日の最終のフライトに間に合ったわたしとケイトは、東京行きの飛行機の中だった。
「急に帰ることになってすみません」
「気にしなくていいよ。そろそろ休みも終わりだし」
二日だけ東京に帰るのが早くなっただけだ。
母は少しさみしそうにしていたけれど、今度東京に招待するとケイトが言ったら、さっそく向こうの友達に連絡をとっていた。ゲンキンなものだ。
「せっかく気持が通じたのに、芽衣子さんを置いて帰るなんてできませんよ。ちなみに、東京についても自宅には戻れませんからね」
「え? どういうこと?」
首を傾げるわたしの耳元に、ケイトが唇を寄せた。
「ずいぶんお預けされたんですから、今夜は覚悟しておいてください」
艶めいた声色に、体の熱が否応にもあがってしまう。
それにも関わらずケイトは耳朶を甘噛みし、膝の上に置いてあるわたしの手の甲を包む。
座っている席はスーパーシートで人がまばらとはいえ、ふたりっきりではない。
わかっているけれど、彼に触られると耐えようのない感覚につい翻弄されてしまうのだ。
「ちょっと、ダメ」
形ばかりの抵抗になってしまったけれど、しないよりマシだ。
「少しだけですから。芽衣子さんが隣にいるのに我慢できない」
ますますエスカレートしそうなケイトの言葉に、困ったと思うけれどうれしいと思う。
ブレーキを取り去った彼への思いが実った今、上空一万メートルでわたしは幸せのまっただ中にいた。