【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
着信履歴から母にコールすると、ワンコールしないうちに出て驚いた。

《芽衣子、おめでとう》

もしもし――と言う前に、喰い気味に話し出されて驚いた。

しかもおめでとうってどういうこと?

「ちょっと、いったい何のこと?」

《やだ、もう。とぼけちゃって。うふふ》

なんだかご機嫌な母の様子に違和感しかない。

「とぼけるもなにも、なんのことだかさっぱりわからない。

ちなみに誕生日はまだ先だからね」

《失礼ね、娘の誕生日くらい覚えてるわよっ! それより、結婚する話どうしてお母さんにしてくれなかったの? どれだけ心待ちにしてたか、分かってるでしょう?》

「誰が結婚するって?」

チューハイをあおりながら、適当に話を聞く。

いつもの世間話の後に続くお説教が始まるのを予測して、今日はなんのお小言から始まるのかと、目をくるりと回した。

《とぼけないでよっ! 芽衣子が結婚するんでしょう? 今日、お友達の結婚式で高らかに宣言したって、聞いたわよ》

「ぶっほっ……ごほっ……ごほっ」

口に含んでいたチューハイを見事に吹き出しむせ込む。慌ててティッシュで口元と汚れた床を拭いた。
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