【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
電話口で悲鳴のような声で責められた。
「ちょっと、落ち着いてよ。ね、ね」
なんとか落ち着かせようとしたけれど、母は勢いに任せてわたしに最後通牒を突きつけた。
《もうだまっていられないわっ!》
今までだって散々お小言を言っていたのに、今さら何よ……と思いつつも、母の今までとは違う気迫に思わず息をのんだ。
《今日から一年以内に結婚しなければ、帰ってきて家を継いでもらいます》
「はぁ? ちょっと待ってよ。わたし、お弁当屋なんて無理よ。第一料理にまったく興味もないし」
実家の小さな弁当屋は母と弟が、店を切り盛りしている。
正直食べるのは大好きだが、作るのは才能ゼロのわたしが跡を継ぐなんて、言語道断。
《興味がなくてもなんでも、そっちにいるつもりならさっさと結婚して身を固めなさい。そうでなければ、こっちに戻ってくること! わかったわね》
「ちょ、お母さ――」
わたしが話をしているにも関わらず、電話はブチッと切れてしまった。
スマートフォンの画面を見つめて、肩を落とした。