【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
「はあああ~どうしよう」

ソファに置いてあるクッションを抱きしめて、大きなため息をついた。

困った……適当に嘘をついたことを今更ながら後悔する。

しかしその次に襲ってきたのは怒りだ。

「木下の奴! ほんとおしゃべりなんだから、絶対嫌がらせのつもりだ」

クッションをボンボン殴っていると急にむなしくなった。

田舎の噂話は光よりも早く伝わるのを知っていたのに、嘘をついたわたしが悪い。

木下さんに当たるのは八つ当たりだ。

そもそもこの歳で恋の気配もないのに、見栄をはったのはわたし。

「はぁ~それにしてもどうしよう。お母さん、絶対本気だよ」

母の鬼の形相が頭に浮かんできたのをかきけすように、わたしはチューハイを一気飲みした。

憂さ晴らしのつもりのアルコールが、やけに体に染みた気がした。
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