【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
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「と、いうわけなのよ」
わたしはグラスについた水滴を指でなぞりながら、ことの顛末を話して聞かせた。
「はぁ、そういう理由があったんですね。しかも一年かぁ」
ひよりもわたしと同じように浮かない顔をしていた。
「もうね、藁にもロッカーにもすがりたい気持ち分かるでしょう?」
「たしかに……地元に帰るってなると仕事も辞めて引っ越しをするってことですよね?」
「うん、今更帰りたいと思わないし、それに向こうに帰った方が『まだ結婚してないのか?』とか『見合いのいい話があるのよぉ』とかもうすごいプレッシャーでね。そんなのわたしに耐えられると思う?」
力説にひよりが首を左右に振る。
「でしょう、だからわたしは何がなんでも結婚しなくちゃいけないのよっ」
そこまで話をするとわたしは三分の二残っていたビールを煽るようにして飲み干した。
わたしの勢いにおされたひよりは若干引き気味だ。けれどそんなこと構っていられない。