【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
週明けの月曜日、七時すぎ。

わたしはいつものようにロッカーの前に立っていた。

扉の裏についた鏡で自分の顔を見る。

誰かの腕の中で、目覚めたのっていつぶりだろうか。

ケイトの顔が頭に浮かんできて、あわててロッカーの扉を閉める。

あれからずっとわたしはこの調子で、心ここにあらずの状態が続いていた。

会社に来たら頭が切り替わると思っていたのに、少しぼーっとしたらこのザマだ。

気を引き締めないと、変なミスをしてしまいそうだ。

そうなると、また自分を責めることになる。

「スマホは見つからないし……どうしよう」

わたしはあの日スマートフォンを紛失していた。

バーやホテルに問い合わせしたのだけれど、どこにもない。

そもそもいつから無いのか、それさえも思い出せないでいた。

コツンとロッカーに額をあてて、息を大きく吸い込んだ。

結婚ロッカーの恩恵は、まだ……みたいだ。
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