【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
「その点ひよりは、幸せいっぱいだよね。ちょっとお裾分けしてもらおう」

彼女に手を伸ばし、抱きしめた。

「芽衣子さん……」

はからずしてひよりの恋をずっと側で見てきた。

失恋したときも、またその恋が復活したときも……そしてそれを実らせて大好きな彼と結婚したときも。

傷ついてもそれでも、もう一度同じ人の胸に飛び込むのは勇気がいることだ。

また同じ苦しみを味わうかもしれない。

それでも彼女は旦那様を信じて、彼についていくと決めた。

目の前に困難があったとしても、手を取り合ってそれを乗り越えていく決心をしたのだ。

「おめでとう。本当に、おめでとう」

これからは旦那様についてニューヨークに行ってしまうけれど、心から彼女の幸せを祈っている。

わたしにも、一生かけて大切にしたいと思う恋が訪れるのだろうか。

そしてリミットまでに結婚できるのだろうか。

抱きしめたひよりの肩越しにロッカーについている鏡が目に入る。

仕事で疲れた自分の顔が映っていて、少し嫌気がさした。

それでもどうかお願いします。

わたしも結婚できますように。
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