【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
目の前には、数本の焼き鳥と本日のサラダ。揚げ出し豆腐に山芋のふわふわ焼き――、居酒屋の定番メニューが並んでいた。
「芽衣子さんがおすすめするお店だけあって、美味しいですね」
焼き鳥にかじりついたケイトが感心したように目を見開いた。
「でしょう? しかも安くておすすめ。新人のときに先輩に連れてきてもらった穴場なの」
会社からは少し距離があるのだが、それゆえに愚痴るときにはもってこいの場所だった。
「ふーん、なんだかうれしいな」
目元を緩ませたケイトが、テーブルに肘をついてこちらを見ていた。
「おいしいじゃなくて?」
ビールを飲みながら聞く。
「いいえ、うれしいんです。芽衣子さんのテリトリーに入れてくれて」
「ぶっ……ごほっ……、な、何言ってるの? 別にそういうわけじゃないから」
「でも実際そういうことでしょう?」
まぶしい笑顔を向けられて、直視できない。
「……好きに考えればいいじゃない」
何を言っても無駄だと思ったわたしは、それ以上は何も言わないことにした。
ある程度料理を食べて、空腹が満たされた頃。
「芽衣子さんはどうしてそんなに結婚にこだわるんですか?」
「それね、まあ色々あるのよ」
てっきり昨日、話をしていたと思い込んでいた。
わたしはここ最近の不運の始まりを彼に聞かせた。