【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
店を出てからすぐに歩き出した彼に、ついて行く。

足の長さが違う分いつもよりも早足だ。

「ちょっと、食事に付き合ったんだからスマホ返してくれない?」

そのために来たのだ。そろそろ奪還しなくては。

「え、だってまだデート終わりじゃないですよ」

「何言ってるのよ! わたし明日仕事なんだから。もう帰るわよ」

ピタッと足を止めた。意地でもついていくもんか。

腕を組んだままそっぽを向く。

「そうでしたね。芽衣子さんお疲れですよね。じゃあ、ふたりでゆっくりできるところに行きましょうか?」


――ゆっくりできることろ?
ケイトの方に顔を向けると、じっとわたしを見ていた。

蠱惑的な瞳が瞬時にわたしの心を捉えた。

ダメ、ダメっ!

このままついて行ったら、先日の二の舞になりかねない。

どうしてもケイトの前では自分の意志を強く保つことが難しい。

焦ったわたしは、自分の身を守るために、ひとつのビルを指さした。

「そうだ! あそこに行こう。ね?」

それまでかたくなに動かなかったわたしは一転、彼の手をとってすぐ近くにあるビルに向かった。
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