【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
「芽衣子さん……芽衣子さん」
「ん……な、に?」
名前を呼ばれて身をよじる。とてもいい気持ちなのだからもうしばらく放っておいて欲しい。
「起きないなら、おはようのキスしますよ」
「ん? キス……? き、」
パチッと目が覚めた。
「あ、残念。チャンスだったのに」
至近距離に端正な顔があって驚き、がばっと起き上がろうとしたわたしをケイトが抱き留めた。
「こら、急に立ち上がったら、危ない」
「ごめん」
素直にあやまったわたしをきちんと立たせてくれた。
「すごく気持ちよさそうに寝てました」
やってしまった。さすがに失礼だった。
「ごめんね。寝ちゃって」
うつむき加減のわたしを、ケイトは不思議そうに見た。
「なんで謝るんですか? 疲れているのに付き合ってくれたのも、可愛い寝顔が見られたのも、俺にとっては喜ばしいことです」
また、恥ずかしげも無く……。わたしのほうが赤くなってしまう。
「だったら、よかった」
「ほら、行きますよ」
当り前のように手をひかれて、外に出た。
どうやらわたしたちが最後だったようで、清掃道具を持ったスタッフとすれ違った。
ああ、どうしよう。つながれた手がすごくあったかい。