【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
ケイトに対しての謎が深まるなか、またしてもわたしを混乱させる出来事があった。

土曜日の午後、前日に強引に約束を取り付けられたわたしはなぜだかタキシード姿のケイトの運転する車で、どこかに向かっていた。

「ねえ、そろそろ説明してくれてもいいんじゃない?」

ブラックタイにシルバーグレイのタキシード。オニキスのスタッドボタンとカフリンクス。

相当改まった格好をしているのだけはわかるが、その目的がさっぱり見当つかない。

「ちょっと付き合って欲しいところがあるって、昨日伝えませんでしたか?」

「聞いたわよ。でもその格好を見て〝ちょっと〟だとは到底思えないんだけど」

「そうですか?」

まるで取り合わないで、鼻歌交じりに車を運転するケイト。

明るめの柔らかな髪に日差しがあたり優雅に運転する姿は、まるで貴族のような高貴な雰囲気を醸し出している。

思わずじっと観察してしまった。それどころじゃないのに。

「ちょっとしたパーティに呼ばれているんですよ。あまり得意じゃないんで断りたかったんですけど、お世話になった人が主催なので。それで心細いからついてきてもらおうかと」

「本当に〝ちょっとした〟なの? その服装ではそんなふうに思えないけど。それにわたし行き先を聞いてなかったからこんな格好だし」

一応、ニットのセットアップを着てきた。

あまり気合いをいれていると思われるのも嫌だし、かといってどこに行くのか分からない手前、カジュアルすぎるのもダメだと思ったからだ。
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