【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
『お相手のかたは、継続してお会いしたいとおっしゃっておりますが、何か理由がおありでしょうか?』

尋ねられたわたしは「趣味が合わずに」と濁して伝えた。

『やっぱり筋肉ですか?』

なんだ、他の人も同じ理由で断っていたのか。

「そうですね。何の話をしていても結局たどり着くところがすべて〝筋肉〟でして」

『森安さまは、筋肉質のかたもOKだとデータにあったので……』

鍛えている人は嫌いじゃない。むしろストイックな感じがして好感が持てる。

しかし限度というものがあるだろう。

「とにかく、先方には申し訳ありませんが、お断りしてください」

『はい。かしこまりました。……次はいかがいたしましょうか』

向こうが言いにくそうにこちらの出方を窺っている。

まあ仕方ない。

この二ヶ月の間に六人の人とお見合いして、一度も〝継続〟にいたっていないのだから。

「そうですね。良い方がいらっしゃったら」

わたしの返答を聞いて、電話口からため息が聞こえた。

……あの、おもいっきり聞こえていますけど。

『森安様……お気を悪くなさらないでくださいね、大変申し上げにくいのですが、もう少しお相手のことを優しい目で見てあげることはできないでしょうか』

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