【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
「ケイト！　久しぶりだな。また大きくなったんじゃないのか？」

「苦しいってば。そんなはずないでしょう、もう成人して何年経ってると思ってるの？　それよりロイドはちょっと横に大きくなったんじゃないの？」

「仕方ない。日本の食事は旨すぎる」

あははと豪快に笑うロイドと呼ばれた男性は、ケイトから離れると隣にいたわたしに、手を差し出した。

慌ててわたしは彼の手を握る。ふっくらとして温かい手だ。

「はじめまして。ケイトの素敵な人」

「はじめまして、森安芽衣子です」

「メイコさん、可愛い名前です。わたしのことはロイドと呼んでください。堅苦しい肩書きなんか気にしないでね」

バチンとウィンクをしたロイドに少し緊張の糸がほぐれた。

「こちらはわたしの奥さん」

ロイドさんの奥様はすらりと背が高く、綺麗なスカイブルーのドレスを身につけていらっしゃった。

日本の年配の女性だと躊躇してしまいそうな鮮やかな色だったが、明るく凛とした雰囲気の奥様にはぴったりだと思う。

「はじめまして。ケイトのいい人だと聞いて、お会いするのを楽しみにしていました」

笑顔の奥様に両手でぎゅっと手を握られた。

ふたりのわたしに対する温かい好意的な態度から、ケイトがどれだけこの夫妻に大切にされていたのかがわかる。

「ロイドと俺の父が古くからの友人でね。それで小さい頃から色々とお世話になってるんだ」

初めて触れるケイトの過去の話だ。

わたしはこれまで（意図的ではないにしろ）自分の話をしなかった彼が少し心を開いてくれたのだと思いうれしくなった。

「わたしの仕事を手伝って欲しかったのに、わけのわからない仕事をばかりをするから。心配になるよ」

「いつまでも子供扱いしないでください。俺は俺で、楽しくやってますから」

「その日暮らしみたいな生活、まだしてるの？」

「いくらなんでも……と言いたいですか、今は無職も同然なんで、否定はできませんけどね」

肩をすくめたケイトを見て、夫妻は声を上げて笑った。
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