【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
ダメだとわかっていても体中にうれしさが込み上げてくる。

にやける顔をなんとかごまかそうと下を向いていると、ケイトが覗き込んできた。

「わかりました? 俺の好意も下心も、しっかりと受け取ってくださいね」

「……っ、もう。下心って何よ」

可愛くない態度で返すことしかできない。

でもケイトはわたしの心の内を知っているかのように、ニッコリと笑ってわたしの頬に小さなキスをした。突然のことで思わず固まってしまう。

「こういうことですよ」

至近距離で合った目が、にやりと笑う。

からかわれているとわかってもこんな近くで見られたら、赤くなった顔を隠すこともできない。

年下の男にいいようにされて、これまで(少しだけど)経験してきた恋愛が何の役にも立たない。

いや、ケイトとの時間はこれまでの経験したものとは違う。だからこそ対処のしようがないのだ。

「ほら、早く行きましょう。こんなことしていたらいつまでたってもホテルにたどり着かない」

さっきよりも強く、ぎゅっと手をつないで歩き出した。

さっきまで冷たかった手はふたりの体温で温かくなっていた。
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