【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
――あ……の、いったいこれってばどういうことなの!?

唖然としたわたしの隣では、ケイトが慣れた様子でベッドルームに向かい、クローゼットからバスローブを取り出し持ってきた。

ケイトが〝泊っている〟といったホテルは、日本でも五本の指に入る外資系の高級ホテル【カメリアホテル】だった。

雑誌では常に憧れのホテルとして取り上げられ、予約は一年前にはほぼ埋まってしまうと聞いたことがある。

わたしも結婚式でこのホテルに来たことはあるが、客室に入るのは初めて。

それもここは部屋の数から見ても、スイートルームに間違いない。

エレベーターを降りたときからフロア全体の重厚感が漂っていた。部屋の中はいわずもがな。

壁一面がはめ込み型のガラス窓になっており、その向こうには激しく降る雪の中でビルの灯りが瞬いていた。

部屋の中は温かく、よく手入れされたマホガニー調の家具はどれも高級なものだというのがよくわかる。

「……シャワー浴びないんですか?」

「え、あ、うん……いや、ありがとう」

ぼーっとしたままバスローブを受け取る。

「脱いだ服はすぐにクリーニングに出せば乾かしてもらえます。まずは温まって……芽衣子さん?」

「え……あ、うん」

豪華さに気圧されたわたしは、まだぼんやりしたままだった。

「シャワーひとりで無理っていうなら、一緒に入る?」

「……ちょ、何言ってるの!? 調子に乗らないでよ」

わたしは彼の手にあったバスローブをひったくるようにして奪うと、背中越しにケイトの笑い声を聞きながらバスルームに向かった。
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