【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
昨日の電話を思い出して、ますます落ち込んだ。
入会時は「何度でも運命の方が現れるまで、頑張りましょうね」なんて言っていたのに、結局は営業トークか。
いや、自分も悪いところがあるのは分かっている。だけど……。
「はぁ……一年以内に結婚なんて、到底無理だよ。お母さん」
これ以上のため息はダメだと思い、ビールを使って流し込んでいると、向かいの椅子が引かれて、顔を上げた。
「すみません、遅れてしまいました」
少し息を弾ませたひよりが、目の前の席についた。
三ヶ月後にニューヨークに立つ予定の彼女と約束をしていたのだ。
「ううん、全然。気にしないで」
ひよりはテーブルの上にあるローストビーフとビールを見て小声になる。
「それ、あんまり美味しくないんですか?」
「え? いや、そんなことないけど」
ローストビーフは放置され表面が乾き始めているし、ビールは少し減っているものの泡もすっかり消えてしまっていて、グラスには大量の水滴がついている。
放置されていた時間が長かったのがまるわかりだ。