【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
いつもの自宅のベッドじゃないことを。

デジャヴ? いや、二回目だ。あの日と同じぬくもりを肌に感じる。

わたし……またやってしまったの?

背後から抱きしめられるようにして横たわっていた。

わたしが身じろぎしたことでケイトも目が覚めたみたいだ。

「んっ……おはよう。寒いね」

回していた腕に力を込め、彼がわたしの首筋に顔を埋める。

彼が呼吸をするたびに首元からぞくぞくとした感覚が体中に広がり、抵抗しようとしている体から力が抜けた。

抵抗が弱くなったわたしにケイトの悪戯な手がごそごそと動き出す。

ガウンの上から太ももから腰のラインをなぞる。思わずビクッと反応すると、背後で彼が笑った気配がする。

いいようにされているのはわかっている。だけどそれを振り払う気になれなくて、自分がこんなに流されやすいのだと実感する。

彼の手がガウンの合わせを割って忍び込んできた。

「ダメっ!」

素肌に彼の手が触れた。肌が粟立ち、ドキドキと胸が大きな音を立てた。

「俺、寒がりなんですよ。だからちょっとだけ、このままでいたい」

甘えるような態度を見せられると、断れない。

悔しいけれどわたしの性格をよくわかっている。腹部に添えられた手は特別冷たいわけではない。むしろ暖かくて心地よい。

彼の触れているところから、わたしの体温はどんどん上がっていく。

かたやケイトはわたしを抱きしめたまま、じっとしている。もしかしたらまた、寝てしまったのかもしれない。
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