【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
彼のこれからの一年間と、わたしの一年間では、時間の長さに違いがある。

「あーあ、毎日こうしていたい。芽衣子さんあったかい」

無邪気な彼の言葉に、自分との温度差を感じる。

「昨日の夜、先に寝ちゃうなんてひどくないですか? 俺、シャワーから出て膝から崩れ落ちそうになりました」

それまで大人しくしていた彼の手が、怪しい動きをみせ始める。

だけどここで流されてはいけない。これ以上先には進むべきじゃないから。

「ダメだって言ったでしょ」

自分でも思っていたよりも大きな声が出た。

彼の手を振りほどいて、体を起こす。

急にわたしが大きな声を上げたので、ケイトは驚いた顔で目を見開いた。

「どうしたの急に?」

彼は肘で体を起こして、こちらを見ている。

「前は成り行きでそういうことになったけど、あれは事故だから」

「事故? 俺はそんなふうに思ってないですけど」

「ケイトは若いからそういうことをしたいのかもしれないけど、それなら他の人を探してちょうだい。わたしが探しているのは、気軽に遊べる相手じゃなくて、結婚する相手なの」

「芽衣子さんは、俺と気軽に遊んでるってこと?」

「ちが――」

否定しようとしたけれど、実際そう取られても仕方ない。

本気で付き合うつもりはないのに、ついつい彼といるのが楽しくて、誘われるままについていってしまっているのだから。

考え込んだわたしに、ケイトが小さくため息をつくのが聞こえた。
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