【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
「これ、ケイトだよね」

テーブルの上に取り出した雑誌を、彼がのぞき込む。「ああ、それ今頃発売になったんだ」と、あっけらかんと認めた。

肩すかしをくらった形になったわたしは、思わず彼を凝視した。

「それ、だけ……なの? 他に言うことは?」

「あ、もしかしてびっくりさせましたか?」

まるで悪びれた様子のない彼の態度に、わたしは冷静さを失ってしまった。

「びっくりしたわよ。満足?」

「芽衣子さん?」

わたしの棘のある声に、彼はそれまで笑っていた顔をこわばらせた。

「いつ話をするつもりだったの? バレなければ、ずっと言わないつもりだった?」

「それは――」

弁明をしようとしているケイトの言葉をわたしは遮る。

「さぞ楽しかったでしょうね? 何も知らないわたしをずっと笑っていたんでしょう?」

「そんなはずないだろう。何言ってるの?」

彼は手に持っていたワインリストを乱暴に置いた。

彼が怒りとともに悲しみをはらんだ目でわたしを見る。

「最初にこの店に来ようとした日のことを覚えてる?」

「ああ、あのときは芽衣子さんが俺のお財布を心配して――」

「バカみたいよね。しがないOLが億万長者のお財布の中身を心配するなんて」

自嘲を浮かべるわたしを、ケイトがさみしそうな顔で見つめる。

傷つけたかもしれない。そう思ったけれど、わたしの爆発した感情がとまらない。
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