【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
「さぞ滑稽だったでしょう? わたしの出した結婚の条件なんて、ケイトにとってはバカみたいなことだったでしょう? 
でも、それでもわたしにとっては大切なことなの。平穏で実家の親を安心させられるような、そんな結婚が――結婚になじまないケイトにはわからないわよね」

喰ってかかるわたしに、いつもなら笑って流すケイトも今回ばかりは違った。

「たしかに、芽衣子さんの理想とする結婚の良さは俺には分かりません。分かろうとも思わない」

「なっ……わたしだって、分かってもらおうと思わないわよ」

売り言葉に買い言葉。口からどんどん嫌な言葉が出てくる。

「そうだ、将来安泰なら別に俺でもかまいませんよね?
 この間までは俺の稼ぎを心配していたみたいですけど、芽衣子さんひとりぐらい養えるお金ありますから、俺にすればいいじゃないですか。きっとご両親も喜びますよ」

投げやりな言葉に、心の奥で何かが割れる音が聞こえた。震えそうになる声を絞り出す。
< 93 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop