【最愛婚シリーズ】極上CEOにいきなり求婚されました
「生まれつきよ」

「笑い事じゃありません。目の下の大きなクマ、隠しきれていませんよ」

「やっぱり、ばれた? もっといいコンシーラー買わなきゃ」

ここに来る前に、化粧直しはした。

でもそれくらいでは隠しきれないほど目立つと言うことだろう。

「ごまかさないでください。彼……北村さんの件で、ですよね?」

うなずいたわたしは、サングリアを片手にひよりにお願いしていた調べごとの結果を聞いた。

「たしかに、北村圭人さんは駿也(しゅんや)の知り合いでした」

やっぱり……同じような仕事をしているから、きっとどこかで顔見知りくらいにはなっているだろうと思っていた。

皆川(みながわ)駿也は、わたしの元後輩でひよりの旦那様だ。

ケイトと似たような仕事をしているし彼もしばらくの間ニューヨークで仕事をしていたので、もしかしたらケイトの事を知っているかもしれないと思い話を聞いていたのだ。

「て、いうか。わたしたちの結婚式に参加していますね」

「えー!」

ひよりの発言に、わたしは他のお客様がいるにも関わらず大声を上げてしまう。

「わたしも彼側の招待客をみんな把握していたわけじゃないので、名前を聞いてもピンとこなかったんですけど、駿也とは仕事上でも一緒になることが多いみたいで。詳しいことは企業秘密らしく教えてもらえませんでしたけど」

なによ、それ。あのときバーで一緒になったのが初対面じゃなかったの?

「向こうは、わたしって分かっていて近付いてきたってこと?」

「確実にそうとは言えませんけど、その可能性は否定できないですよね。結婚式のときに同じ会場にいたんですから」

ひよりの言葉に「そうだよね」と短く返す。
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