総長さんが甘やかしてくる③
調査によりわかったのは
夕烏が『黒梦』という暴走族と関わっていること。
それだけ聞いたときは
夕烏は不良連中に脅され一緒にいるのかと懸念した。
だが、探偵の報告によれば
うまく身を隠しながら、不自由のない生活を、自らの意志で送っているとのことだった。
――耳を疑った。
あの、夕烏が。
操り人形みたいな少女が。
望んで他人と生活している姿なんて、想像がつかなかった。
信じられるわけがなかった。
すると、探偵は、言った。
『彼女の目撃情報は驚くほど増えているんですよ。もはや信憑性など期待できない程に。
それでも真実はどこかに隠されている。そう考え、辿り着いた。
ある目撃証言と店内カメラの映像が決め手で、失踪した夜に某ファミレスに来店した少女。それが、夕烏さんだと確定しました』