総長さんが甘やかしてくる③
「兄貴がいるのか」
「うん。高清水は?」
「俺は……。三男だ」
「ってことは、上に二人も兄ちゃんいんのか。いいよな。一緒に遊んだりできて」
「遊んだことは、ない」
「そうなのか?」
「顔を合わすこと自体そうなかった」
「なんで? 一緒に住んでねーの?」
「…………」
「って、わるい。色々聞きすぎたかな」
俺は、多くの人間に望まれ、あの家にやってきたわけじゃない。
兄貴たちとは半分血の繋がりがあるだけにすぎない。
腫れ物扱いされて育った。
大切にされてはいた。
というよりは――、大切にされすぎた。
だから
『はやく、出ていけよ』
兄貴たちにとって俺は、邪魔で仕方ない存在だった。
「家では、たいてい一人なんだ」
「そっか。うちは兄ちゃんが親みたいなものでさ。過保護っていうの? ずっと俺の傍にいる」