総長さんが甘やかしてくる③
夏休みが始まったところで俺の生活に新鮮味などなく。
黒梦の連中といる時間が増えはしたが、元々学校へはカレンダー通り行っていたわけではないので、そう変化のない日常だった。
そんなある日
「鳴ってた」
テーブルの上に置きっぱなしだった俺の電話を持ってきた、木良。
「不用心だねえ。知ってる? ロックかけてても、電話には出られるんだよ」
「出たのかよ」
「うん」
投げられた携帯をキャッチし
着歴を確認した俺は、かけてきたのが稔だと知る。
「君、友達なんていたんだ?」
友達と言われ、むず痒かった。
果たして稔と俺の間に『友情』と呼べるほどのものが、あっただろうか。
「学校のやつ?」
「別に」
「まあ。なんでもいーけど、ピンチみたいだよ」
「は?」
「かけてきたの、本人じゃなかった」