総長さんが甘やかしてくる③


それは、


稔との『友情』が破綻した瞬間だった。


「なに言ってんだよ高清水。そりゃあ……俺は、バイクも乗れないし、喧嘩も弱い。チームメイトじゃない。けどさ。ここに居るくらいかまわないだろ?」


もしかしたら稔は、強くなりたかったのかもしれない。


「ダチだよな? 俺たち」

「笑わせるな」

「え……」

「俺がいつ黒梦を抜けたいとお前に頼んだ。黒梦のなにを知っている」

「高清水」

「絶交だ」


稔を、遠ざけるようなことを言った。


なるべくはやく追い出そうと。


なぜなら、そのときにはもう俺は


――羅刹をぶっ壊す気でいたからだ。


目を覚ませ、稔。


こんなやつらが、お前に資金を提供するわけがない。


お前は、利用された。


俺が来なきゃ、その足は

――もう走れなくなっていただろう。


今ここで、俺が

やっぱり羅刹には加入しないと言えば

稔は無事ではいられなくなるだろう。


(だからはやく逃げろ)


稔には裏切られたが

これ以上、争いごとに稔を巻き込みたくないという気持ちは変わらずにあった。


「まあまあ。喧嘩はよせよ。稔、金は振り込んでおく。また会おう」

「……はい。ありがとうございます」


頭をさげた稔が俺を横目で気にしながら姿を消した。


「手始めに消してもらいたいチームがあるんだけど」


そう言って近づいてきた総長を


俺は


俺は


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