総長さんが甘やかしてくる③
――…図星だった。
「朗報だよ、幻」
口元を歪め笑う木良をみて、いや予感がした。
「あのときお前を騙したやつ」
「……稔?」
「歩道橋から足を滑らせて。歩けなくなったんだってさ。一生、車椅子。天罰かな?」
そう、木良に、聞いたとき。
俺は
稔に関わったことを後悔した。
「まあ。普通に考えてこのタイミングって。不運な事故ではないよね」
「…………」
「霞はさ。ちょっとワガママだけど。いい子だよ。保証する」
「…………」
「君が守ってやってよ。稔みたいに、ならないように」
「お前は。怒っているのだろう?」
「なにを」
「俺があのとき。お前の言葉を無視し、飛び出たことを」
廃工場に、向かったことを。
「んー。どうだろうね」
そんな、
イエスともノーともとれる返事をしたあと
木良は、黒梦を抜けた。