総長さんが甘やかしてくる③
霞が俺の元を訪れなくなって、しばらくした頃。
「ハゲがすげえやつ見たらしいんですよ」
バイクを巧みに乗り回す男が現れたという話を耳にするようになった。
「新顔です」
「でも、神出鬼没で。俺はまだ見てなくて」
どこのチームというよりは。
単独で走っているらしいので、気に留めていなかった。
警戒すべきは、木良の属する、新生羅刹。
だが目立ったこともしていない。
ならばこちらから関わることもないと、そう考えていた。
――数週間後。
「幻さん。大変です……!」