総長さんが甘やかしてくる③


怯えた少女の面影など、残っていない。


口元を緩めて薄笑いで俺を見下ろすのは――


「弱点は。オ・ン・ナ」


男物のシャツ一枚をまとっているだけの、美少女。


裾からは、太ももが露わになっていて。


「あは。固まっちゃった。噂通りの純情くんだね?」


俺にまたがった少女の身体は


あたたかく、やわらかく


「女相手だからって。油断しないほうがいいよ?」


胸の膨らみにおいては

おそらくは、ユウ以上のもので


(目のやり場に困る)


思わず、視線をそらした。


そらしたからといって

全身から、伝わってくる。


――この子の体温(ぬくもり)が。
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