総長さんが甘やかしてくる③
「違う」
「ふーん。じゃあ。どうして? そんなに幻って。あなたにとって信用できる男?」
「それもあるが」
「他になにがあるっていうの」
「君が、うちの姫を悲しませたからだ」
ユウを傷つけた人間の言うことを鵜呑みにするかよ。
「へえ。みんなから愛されてるんだ、“夕烏ちゃん”は」
「っ、おい……」
カスミの顔が、
「あたし。幻の居場所に、心当たりある」
鼻と鼻がぶつかりそうなくらい近くにくる。
「……本当か?」
「でも、あたしのこと。信用できないんだよね」
「そうだ」
「それでも知りたいわけ?」
「ああ。今、君だけが頼りだからな」
「勝手なひと。まあ、いーや。それじゃあ。遊ぼ?」
…………遊ぶ?
「あなたの言うとおり。幻は、仲間を。……姫を裏切ってなんかない。わたしが。あのときの続き、したかっただけ」
――あのとき……?
「シュウくんさ。体格、いいよね。顔も、よく見ると、けっこータイプかも」
「いい加減。離れてくれ――」
「あたしのこと満足させてよ」
「なんだと?」
「交換条件だよ。でなきゃ、教えてあげない」